筆者の奥野さんは「心にナイフをしのばせて」や「ナツコ 沖縄密貿易の女王」などを出されているフリージャーナリストの方で、沖縄が関係する本はこれで3冊目になるのか。(もう1つは「ねじれた絆」)
復帰直後、私が生まれたばかりのときくらいからたびたび沖縄に通っていて、かなり沖縄びいきな方だったんですね。
“私は沖縄に幻想を見ているのかもしれない。あるいは「旅の人」の勝手な思い込みかもしれない。またしてもヤマトンチュウはと、蔑まれるかもしれないと思いつつ、しかし、笑わば、笑え、である。私は言わずにはいられないのだ。”
オバアが大好きで、おもろまちが嫌いな奥野さん。
政治、経済、文化、食生活、健康、基地、観光とさまざまなジャンルでバッタバッタと斬っておられます。
でも、怒るに怒れないというか、むしろ感心したり、ウチアタイばかりの内容でした…
特定のテーマを長く観察してきた人の感じたこと、考えたことってとても大事だなと思いました。
長い時間を経て蓄積されたその人の想いは、ずっしり重く感じます。
最近は久高島をよく訪れていらっしゃるそうですが、最後に
現在のオジイやオバアたちがこの世を去れば、沖縄の「心」も大きく変貌することだろう。粛々として沖縄が消え去るのも一興、本書はそのために墓標であってもいいと思っている。
と締めくくっています。
これからも奥野さんならではの距離感で(半ばあきらめも混じってるみたいだけど(笑))沖縄のことを語ってくれたら、沖縄にとってとても幸せなことじゃないかな。
《目次》
第1章 沖縄の自然を食い荒らす者たち
第2章 観光政策、ただいま迷走中
第3章 補助金は沖縄に何をもたらしたか
第4章 健康の島、長寿の島幻想
第5章 沖縄人気質